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キュウリが尻細り果(先細り果)
キュウリは、夏野菜の中でも収穫開始が早めで、
スタートダッシュができる野菜です。
初めての雌花を見ると嬉しくなり、実が長くなってくると、
いつ収穫かとワクワクします。
ところが、いざ収穫しようと実を見てみると、
普通とは違った状態になっていることがあるのです。
キュウリが尻細り果(先細り果)となるのは、なぜなのでしょうか。
[キュウリ 尻細り果(先細り果)]
■主な症状
・先端に向けて細くなる
尻細り果の目立った症状といえば、やはり実の変形です。
ヘタに近い部分は通常の実と同じくらいの太さであるのに対し、
お尻(先端)に向かうにつれて細くなっていきます。
通常、キュウリの実はヘタの部分よりも先端部分の方が細くなりますが、
その差は大きくありません。
尻細り果の場合は、ヘタ近辺とお尻部分の太さの差が大きく、
見て異様だと感じます。
・湾曲して短い
尻細り果の特徴として出やすいのが、実の湾曲です。
先端に向けて細るのと同時に、実が湾曲していることも増えます。
また、全体的に寸詰まりのような状態となり、実が短くなることも多いです。
栽培後半の尻細り果
■主な原因
・草勢の衰え
尻細り果の主な原因に、草勢の衰えがあります。
キュウリは、着果してから収穫までが短い野菜です。
生育ピーク時には、同じ株から毎日キュウリが収穫できるほどです。
親ヅルを基本の伸ばす節成り性のものはもちろん、
子ヅルを伸ばして栽培するタイプの品種も含め、
草勢に勢いがあれば、それだけツルの伸びも良く、実もつきやすくなります。
ところが、草勢が落ちてしまうと、ツルの伸びが悪くなって着果率が落ちるだけでなく、
着果した実の生育も悪くなります。
着果した時は良くても、実がうまく肥大できずに先端に向けて細くなることによって、
尻細り果となります。
草勢の衰えの原因となるのが、温度不足や肥料不足などです。
・過乾燥
キュウリは、実の90%以上が水分ということや、
大きな葉からたくさんの水分を蒸散することから、たくさんの水分を必要とします。
土が乾燥した状態が続くと過乾燥となり、
生育するために必要な水分が供給できなくなります。
生育に必要な水分が足りないと、実に流れる水分も減るため、
正常な肥大ができなくなり、先端に向かって細くなります。
単純な土の乾燥以外にも、根に何らかの問題が生じることによって、
うまく水分が吸えなくなり、尻細り果が発生することもあります。
■対策
・草勢の維持
キュウリを上手に育てるためには、病害虫の防除とともに、
草勢の維持も大切です。
草勢が落ちれば、尻細り果だけでなく、
様々な不調の原因となります。
追肥はもちろん、適度な水分管理も、草勢維持には重要です。
土が乾燥していれば、せっかく追肥をしても肥料成分が溶け出せず、
肥料不足となってしまいます。
特に、粒状や固形の肥料を与える時は、
乾燥すると肥料不足になりやすいので注意します。
また、着果過多や子ヅルの数が多すぎることでも、
肥料が足りずに草勢が落ちることがあります。
株全体の様子をみながら、着果させる数を調整し、
不要な子ヅルは脇芽かきを行って整理します。
・温度管理
キュウリは夏野菜ですが、夏野菜の中では比較的涼しい環境を好みます。
ところが、春まだ早い時期など、温度が低すぎる環境では、かえって生育が悪くなります。
路地栽培で植え付けが早かった場合は、気温が安定するまでは、
保温するための工夫が必要になります。
また、反対に温度が高すぎる場合も、生育不良になりやすいです。
梅雨があけて夏本番になってくると、急激に調子が悪くなることも少なくありません。
日当たりの良い場所を好みますが、直射が長時間当たって暑くなりすぎる場合は、
遮光ネットなどをうまく活用して、涼しい環境を作りましょう。
■判断基準
キュウリの実は、正常に育っていても、先端に向けてやや細くなります。
尻細り果(先細り果)の場合、明らかに先端の方が細くなっていることで、
正常な実かどうか判断できます。
■参考
・キュウリ 種からの育て方
・キュウリ苗 枯れる
・キュウリ 地植えの育て方
・キュウリ プランターの育て方