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キュウリは、年中スーパーに並んでいる野菜なので、とてもなじみがあります。
けれど、実際に育ててみると、想像と違っていたということも多いでしょう。
中でも多いのが、キュウリの葉が意外と大きいことです。
キュウリは大きな葉でたくさんの光を受け、光合成をして養分を作ります。
たくさん作った養分は、ツルを伸ばして株を生長させるだけでなく、
着果した実を肥大させることにも使われます。
キュウリが育つために必要な養分には、チッソ・リン酸・カリなどがあります。
その中でも、カリウムが足りない状態を、カリウム欠乏と呼びます。
キュウリがカリウム欠乏になると、どのような症状が出るのでしょうか。
[キュウリ カリウム欠乏]
■主な症状
・葉の黄化、白斑
キュウリがカリウム欠乏になると、葉の色が薄くなってきます。
葉が黄色っぽくなり、いわゆる黄化が始まります。
最初は葉の一部だけが黄色くなりますが、徐々に広がっていきます。
症状がひどくなると、黄化だけでなく、白っぽい斑点も出るようになります。
白斑は不整形で、増えてくるとかすり状に見えます。
白斑が増えてかすり状になってくると、
ダニやスリップスなどの害虫が食害した時と症状が似ているため、
勘違いされることがあります。
葉の裏などを見た時、小さくても動いている虫が発見されなければ、
害虫ではないと判断できます。
また、カリウム欠乏で黄化した場合、葉脈の筋が緑色のまま残るのも特徴です。
基本的には、下位葉から黄化が始まりますが、
実が肥大する時期に発生した場合は、着果位置の近くの葉に症状が出ます。
■主な原因
・需要と供給のバランス
カリウム不足は、単純に土の中のカリウム分が少ない場合に起こりやすくなりますが、
実は原因はそれだけではありません。
キュウリは、実を肥大させる時に、多量のカリウムを必要とします。
実がつき始め、次々と開花して着果していく時期になると、
着果位置の近くの葉からカリウムが転流して足りなくなります。
そのため、本来は下位葉から症状が出ますが、
葉からのカリウム転流が多くなってカリウム欠乏となった場合は、
実の近くの葉から症状が出るのです。
土にカリウムがある程度含まれていたとしても、需要と供給のバランスが崩れると、
どうしてもカリウム欠乏の症状が出やすくなります。
・砂地栽培
キュウリを育てている土が、砂が多い土質の場合、
カリウムが流亡しやすくなります。
そのため、砂地でキュウリを栽培していると、
土の中のカリウム分が知らないうちにどんどん流れてしまい、カリウム欠乏となります。
■対策
・摘花、摘果
着果した実が多すぎてカリウム欠乏となっている場合は、
摘花や摘果をして実の数を減らすことによって、
カリウムの転流量を減らすことができます。
実がたくさんついていても、カリウム欠乏や他の生理障害の症状が出ず、
次々と良い実が育っている場合は、無理に摘果する必要はありません。
ただ、栽培後半のスタミナ不足が心配な場合は、
摘果をして様子を見るのも1つの方法です。
・砂土壌の改善
砂地で、あまりにもカリウム欠乏の症状が出る場合は、
やはり土質を改良した方が、キュウリを育てやすくなります。
水はけの良い状態を保つことも大切ですが、水持ちや肥もちが良い状態を作ることも、
キュウリをはじめとする植物を育てる時には重要になってきます。
すぐに改良することができなくても、土作りを続けていくことで、
育ちやすい土に育てることもできるのです。
・カリウムの補給
カリウム欠乏の症状が出た場合、土にカリウムを補充する、
あるいは葉面散布するのがお勧めです。
土に補充する場合は、市販のカリウム肥料で良いでしょう。
葉面散布の場合は、0.3%~0.4%の硫酸カリウム液を使用しましょう。
■判断基準
葉の黄化は、チッソ欠乏でも出る症状です。
カリウム欠乏の場合、葉脈が緑色のまま残るのが特徴で、
反対にチッソ欠乏の場合は葉脈の色も抜けるという点で、見分けることができます。
■参考
・キュウリ 種からの育て方
・キュウリ苗 枯れる
・キュウリ 地植えの育て方
・キュウリ プランターの育て方