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ミナミキイロアザミウマ
キュウリを育てていると、葉が枯れたり落ちたりすることがあります。
落葉の原因はいくつかありますが、
その中でも厄介なのが、アザミウマが原因だった場合です。
アザミウマは、キュウリなどの植物の汁を吸うタイプの害虫です。
キュウリにアザミウマが寄生したら、いったいどのような状態になるのでしょうか。
アザミウマの予防や被害にあった時の対策には、
どのようなものがあるのでしょうか。
[キュウリ アザミウマ]
■アザミウマの特徴
キュウリにアザミウマが寄生しても、数が少ないうちは、
大きな被害にはなりません。
アザミウマは、植物の葉の裏などから汁を吸い、そこで繁殖します。
繁殖力が高く、気付かないうちに激増していることが多いので、注意します。
数が少ないうちは、葉の汁を吸う程度ですが、
数が増えてくるとそれだけでは足りなくなるためか、
徐々に被害のエリアが広がっていきます。
気付けば葉だけでなく、ツルやキュウリの実や実のヘタ部分などからも、
汁を吸うようになっていきます。
汁を吸う範囲が広がっていけばいくほど、キュウリの体力が奪われます。
最初は葉に汁を吸った後のような、
白っぽい小さな斑点ができ、それがひろがっていきます。
吸汁量が増えると、白い斑点が増えていき、
最後には茶色くなって落葉します。
落葉するほど吸汁されれば、キュウリの株は体力を奪われ、
さらに葉が減ることでも養分がうまく作れず、最悪の場合には枯死します。
また、アザミウマの中でも、ミナミキイロアザミウマという種類は、
吸汁して体力を奪うだけでなく、病気も媒介します。
きゅうり黄化えそ病という病気を媒介することがあり、キュウリがこの病気にかかると、
葉が病変するだけでなく、生育不良や枯死の原因となります。
症状が軽ければ、実を収穫できる可能性も残りますが、
たいていは生育不良によって収量も低下します。
さらに、発病株から他の株へ感染する危険性もあるため、
最初の感染を防ぐためにも、アザミウマ類の防除には気を配りたいところです。
黄化えそウィルスに罹患したトマトの葉
■アザミウマの伝染経路や伝染源
アザミウマ類は、冬になっても休眠することがありません。
活動できる程度の暖かい場所に隠れ、そこで冬を過ごすことが多いようです。
以前は、ハウスなどの施設内にとどまり、
そこで越冬して春以降に外に出て広がることが多かったようですが、
近年は温暖化の影響により、ハウス外で越冬することもあるようです。
アザミウマ類は、キュウリ以外の植物も吸汁するため、
日当たりの良い草むらなどにも潜んでいる可能性が高いです。
春の早いうちは雑草に潜んで、キュウリの定植時期になったら、
雑草から飛来してくると予想されます。
■アザミウマの予防対策
アザミウマ類を予防するためには、潜んでいそうな場所の清掃と、
入り込ませないようブロックすることにつきます。
露地栽培の場合、育苗中や定植直後に防虫ネットをかけておくことで、
アザミウマ類が飛来しても、キュウリの葉に近付くことを防げます。
ただし、アザミウマ類はどの種類も体がとても小さく、
また細長い形をしているので、網目の細かいものを選ぶ必要があります。
他にも、畝に銀色や銀線の入ったマルチをかぶせておくことで、
忌避効果と卵を株元に産ませるのを防ぐ効果が期待できます。
また、アザミウマ類は青色に寄りやすいという性質があるといわれています。
そのため、青色の粘着テープをキュウリ栽培エリアの周りに設置しておくことで、
エリアへの侵入を軽減できます。
また、キュウリ栽培エリアの周りに生えている雑草にも、
アザミウマが潜んでいる可能性があります。
栽培が休みになる期間も雑草を取り除き、越冬を防ぐようにします。
雑草を取り除く変わりに、シロツメクサなどを育てておくと、
シロツメクサがバンカープランツとなってアザミウマを引き付けてくれます。
それにプラスして、アザミウマの天敵であるヒメハナカメムシが寄ってきて、
アザミウマを食べてくれます。
薬剤をできるだけ使いたくないという場合は、
こういった自然の力に頼った方法がお勧めです。
キイロアザミウマの被害にあったトマト
■アザミウマの被害にあったら
いくら予防していたとしても、どこからともなくやってくるのが害虫です。
できるだけこまめに見回りをして、葉に異変がないか、
葉裏に動く小さな虫がいないかをチェックします。
できるだけ早い段階で見つけることができれば、まだ防除できる可能性が高いです。
数が少ないうちなら、薬剤の効果も出やすいです。
キュウリに使える、アザミウマ類に効果がある薬剤には、
アファーム乳剤やハチハチ、ベストガード水溶剤、モスピラン水溶剤などがあります。
ただし、アザミウマ類は、薬剤に対して抵抗性が出やすい害虫です。
事実、現在でも抵抗性のあるアザミウマが増えてきているため、
1種類の薬剤では防除しきれない場合も多くなってきています。
系統の異なる複数の薬剤を利用する必要もあるので、
できる限り予防に徹し、早いうちの対策を行うようにします。
■参考
・キュウリ 種からの育て方
・キュウリ苗 枯れる
・キュウリ 地植えの育て方
・キュウリ プランターの育て方