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キュウリのべと病の病斑
キュウリがかかりやすい病気に、べと病があります。
特にハウスなどの施設栽培で蔓延しやすく、
症状がひどくなると枯死する可能性も出てくるため、収量が激減することもあります。
家庭菜園では、キュウリの栽培株数が少ないものの、
べと病が蔓延すれば満足に収穫できないままに栽培が終わることも多く、厄介です。
プロの農家でも、収量が落ちればそれだけ収入減に直結するので、注意が必要な病気です。
べと病の特徴、伝染経路や伝染源、予防対策、対処法をご紹介します。
[キュウリ べと病]
■べと病の特徴
べと病にかかった時、特徴的な症状は葉にあらわれます。
葉に淡い黄色の病斑ができます。
この病斑は、縁があまりはっきりとはしておらず、
症状が進むごとに徐々に広がっていきます。
その後、拡大した病斑は、淡い黄色から褐色に変化していきます。
この時、病斑は葉脈に囲まれ、角ばったような形になるのが特徴です。
症状は下葉から出て、だんだんと上部の葉に広がっていきます。
病斑が褐色になった後も少しずつ病斑は広がり、やがて落葉します。
症状が進めば、それだけ葉が落ちていくので、だんだんと葉数が減っていき、
ひどい時には生長点付近しか葉がないような状態となります。
葉に出る症状だけを見ていると、斑点細菌病にも似ていますが、
べと病の場合は葉裏に暗褐色のカビが発生する点で、見分けることができます。
目立った症状は葉にだけあらわれますが、葉数が減ることで生育が悪くなり、
肝心の実の生長も悪くなります。
そのため、収穫するまで育たず、収量が落ちる原因となります。
また、なんとか収穫できるくらいまで実が育っても、生育不良のためか、
曲がり果が多くなります。
■べと病の伝染経路や伝染源
べと病の原因は、シュードペロノドスポラ キュベンシスという菌です。
この菌がどこからやってくるのかは定かではなく、
どこからともなく風にのってやってきます。
キュウリの葉に到着した時、湿気が多いと遊走子を生じ、
そこから菌糸が発生して、葉の気孔などから侵入します。
葉の中に菌が侵入した後は、葉の組織内で菌が増殖し、
病斑などの症状を発生させます。
病斑の症状が進み、葉裏にカビが生じるようにまでなると、
そこからまた新たな菌が風や水滴によって飛散し、周囲に感染が広がります。
角ばったような形の病斑が特徴です
■べと病の予防対策
べと病は、風通しが悪く湿気が高い環境や、
20度~24度といったやや高温の環境で発生が増えます。
また、肥料切れなどによって、キュウリの株自体が弱っている時にも、
発生の可能性が高くなります。
べと病を予防するなら、栽培環境を整えるところから始めましょう。
周りが塀などに囲まれていたり、他の植物が鬱蒼と茂っているような場所は、
風通しが悪くなりやすいです。
キュウリを複数株栽培する場合、植え付ける時の株間が狭いと、
密植によって風通しが悪くなります。
風通しが良くなるよう、株間はきちんとあけるようにし、
周りに雑草やその他の植物が生い茂っている場合は、刈り取るなどしておきましょう。
台風通過後のキュウリ、モザイク病にかかったように見えます
風通しが良い環境を作っておけば、風が抜けることで涼しく、
湿気がこもりにくい環境を作ることができます。
さらに湿気がたまりにくくするには、水はけの良い土で育てるのも有効です。
ハウスなどを利用した施設栽培でも、適度な換気を行って、
湿気や空気がこもらないようにしておきましょう。
なり疲れや肥料切れは、株を弱らせてべと病を助長させます。
追肥を開始したら、定期的に肥料を与えるのはもちろん、株の様子を見ながら、
肥料が足りない場合はさらに追加で肥料を与えます。
液体肥料ではなく、粒状など固形になっている肥料を利用する場合は、
水が足りていないと肥効が出にくくなります。
適度に灌水し、肥料成分が水に溶けることによって、
キュウリの根が肥料成分を吸うようになるので、乾燥にも注意します。
また、実をつけさせすぎると、どうしても株が疲れやすくなるので、
草勢が特に強い品種でないのであれば、摘果をして着果数をコントロールしましょう。
■べと病にかかったら?
べと病は、多発すると防除が難しくなる病気です。
すでに生長点付近に症状が出ている場合は、治療よりも株を抜き取って処分し、
菌が回りに飛ばないようにする方が有効です。
症状がまだ初期の場合は、薬剤による防除が可能です。
アミスター20フロアブルやリドミルゴールドMZ、ピシロックフロアブルが使えます。
ただし、薬剤によっては、菌が耐性を持つものもあるので、使用品種には注意が必要です。
■参考
・キュウリ 種からの育て方
・キュウリ苗 枯れる
・キュウリ 地植えの育て方
・キュウリ プランターの育て方