初心者なのですが、プランターでキュウリを栽培することはできますか?
家庭菜園を始める時、あまりにも難しいものから始めると、
失敗してからの、園芸意欲がなくなってしまうことがあります。
家庭菜園を始める時にお勧めなのが、夏野菜です。
暖かい時期から育て始めるため、寒さによる失敗が減りますし、
おいしい実のなる野菜が多いのも魅力です。
キュウリはツルが伸びて、少し難しそうと思われるかもしれません。
けれど、初心者の方でも、ポイントを押さえて管理することで、
みずみずしい実を収穫することができます。
*もっと知りたいことがあるときは、文中の青いリンクから詳細説明記事に飛べます。
[キュウリ プランター 初心者 の育て方]
■品種の選び方
キュウリにはたくさんの品種があります。
ホームセンターなどの苗売り場に行くと、
十種類以上もキュウリの苗が並んでいることもあります。
キュウリの品種はどれも特徴があります。
初心者の方にお勧めなのは、節成りタイプの品種です。
キュウリの実のつき方には3種類のタイプがあり、
中でも節成りタイプの品種は、名前の通り節ごとに実がつきます。
親づるの節ごとに実がつくということは、親づるが伸びたら誘引し、
葉の付け根から出てくるわき芽の処理が簡単になります。
また、節ごとに雌花がつくので、それだけ収穫できる可能性も高くなります。
販売されている苗にはタグがついていることが多く、
品種の名前の横やタグの裏側などに「節成り」と、
書いてあるものを選ぶようにすると確実です。
さらに初心者の方には、接ぎ木苗もお勧めです。
接ぎ木苗とは、病気に強い根を持つ品種を台木にして、
おいしい実がなる品種や、実がなりやすく育てやすい品種の穂木を接ぐことで、
病気に強くおいしい実がなる苗に仕立てたものです。
接ぎ木でない苗に比べると、値段が少し高いのですが、
それだけの価値が接ぎ木苗にはあります。
接ぎ木苗は、育てやすいです
■プランターのサイズ
キュウリは長くツルを伸ばす分、根もよく広がります。
小さいプランターだと、生育途中でプランターの中で根がいっぱいになり、
それ以上育つことができなくなります。
プランターの中が根でぱんぱんになると、地上部が生長しないばかりか、
根がうまく水や養分を吸うことができなくなり、水切れや肥料切れを引き起こします。
プランターを選ぶ時は、1株あたり20リットル以上のものを選ぶようにします。
深さは30cmほどあれば十分です。
市販されている標準プランターでは、深さが足りないので、
深型菜園プランターなどの大型のプランターなら安心です。
深型プランター :700×300×320(mm)容量:36L を管理人は使っています。
■使う用土
用土は無理に自分で配合する必要はありません。
あまり難しく考えず、市販されている野菜用の培養土を使いましょう。
培養土の中には、野菜用や草花用などがありますが、
基本的にはどれを使っても問題ありません。
キュウリやゴーヤなどのツルものを育てるための培養土もあるので、
そちらを使うのも一つの方法です。
キュウリは土が雨や水やりなどで跳ね返り、
葉の裏などに付着することで病気に感染することが多い野菜です。
清潔な培養土を使うことで、病気の回避にもつながります。
菜園作業に慣れて来たら、使用した用土を天日で消毒して、
リサイクル用土を混ぜて、再利用できます。
■植え付け
苗を植え付けるのは、気温が十分に上がってからにしましょう。
キュウリはあまり寒い気候が好きではありません。
植え付けてから寒さに当たると、まだ弱々しい苗は傷んでしまいます。
ゴールデンウィーク頃であれば、気温も十分に上がって、
遅霜の心配もなくなるので、適期といって良いでしょう。
植え付ける時は、深植えにならないように注意します。
特に接ぎ木苗を育てる場合は、台木と穂木を接いでいる部分が、
土に埋まらないように気をつけます。
夏すずみを2株植え付けしました
■水やり
プランターの中の土の表面が乾いたら、水を与えるようにします。
また、真夏の暑い時期は、昼間に水を与えるのは控えましょう。
キュウリの水やりで覚えておくことは以下のこの二つです。
土の表面が湿っている時や気温の高い日中に水を与えるのは控えましょう。
その代わり、朝に水を与えても、夕方にすでに土が乾いている時は、
必ず夕方にも水を与えるようにします。
また、水を与える時は、表面だけを湿らすのではなく、
プランターの底から余分な水が出てくるまで、しっかりと与えます。
水やりでメリハリをつけると、根が健康に育ちます。
■追肥
キュウリはツルが伸び、花を次々に咲かせて結実するため、
肥料を切らせてしまうと生育不良になります。
植え付け直後は、培養土の元肥が効いているので、追肥の必要はありません。
植え付けから2週間ほど経ったら、追肥を行います。
化成肥料をぱらぱらとまいておくか、液体肥料を与えます。
化成肥料の場合は、2週間に1回のペースで与えましょう。
液体肥料の場合は、1週間に1回のペースが基準です。
■摘芯・支柱・誘引・ツルの整理
キュウリにはツルを誘引するための支柱やネットが必要になります。
節成りの品種であれば、ネットを用意しなくても、
支柱だけでも育てることができます。
ツルが伸びてきたら支柱を立てて、紐などを使って誘引してあげましょう。
下の方に咲く花は、株がまだ充実していないため、あまり育ちません。
花芽がついても、5節~6節くらいまでは摘んでしまった方が得策です。
支柱のてっぺんまでツルが伸びたら、先端を摘みます。
これを「摘芯」と呼びます。
摘芯をすることにより、親づるがそれ以上伸びなくなり、
養分が花や実に回るようになります。
親づるから伸びてくるわき芽は、
伸びてきたらすぐに摘み取るか、葉を2枚残して摘み取ります。
判断が難しい場合は、伸びてきたらすぐに摘んでしまっても問題ありません。
わき芽を放置すると、それだけ養分が分散してしまうので、
早めに摘んで整理しておくのが良いです。
不要なツルを増やすと、ツル同士が絡んでしまう原因にもなりますし、
管理が難しくなります。
キュウリの摘心と仕立て
一番果
二番果、美味です
■収穫のコツ
下の方の5節~6節ほどは花を摘んでしまいますが、
それより上に咲いた花は実をならせます。
最初になった実は、あまり大きくせずに10cm弱ほどで収穫します。
最初の実を小さめで収穫することで、株に負担がかかりにくくなります。
その後は、一般的なキュウリであれば18cm~20cmほどで収穫するようにします。
キュウリは一晩で実をとても大きく生長させることがあるため、
少し小さいかな? くらいでも収穫しておきましょう。
実が若いうちに収穫することで、株への負担がかなり軽くなり、
その後の収穫量が増えます。
■気をつけたい害虫
キュウリによくつく害虫に、アブラムシとウリハムシがいます。
アブラムシは春に発生が多くなる害虫で、新芽や葉などに付き汁を吸います。
見つけたら数が少ないうちに、紙テープなどで捕殺します。
ウリハムシは、小さな甲虫なのですが、葉を丸く食害します。
少し喰われるくらいなら問題ありませんが、
食害箇所が多くなると、それだけ株が弱ります。
基本は捕殺ですが、必要な場合はマラソン乳剤などの薬剤を使用して防除します。
その他にもハダニなどの害虫が発生することがあります。
高温で乾燥した環境になると発生しやすいので、
葉の裏などにも時々葉水を与えると、予防の効果があります。
夏すずみ、一番果がなりました! 中間地です(2016.05.28)
キュウリは夏野菜なので、暑い場所で栽培されることが多い、
と思われがちですが、そんなことはありません。
キュウリは夏野菜の中でも暑さに弱いところがあるため、
少し涼しい場所の方が長く栽培できます。
日本は北海道から沖縄まで、地域によって気候が少しずつ違います。
中でも北海道は日本の寒い地域の中でもトップクラスです。
北海道は広いため、同じ北海道でも多少の気温の差はありますが、
どの場所も寒冷地となります。
北海道のような寒冷地では、キュウリを育てるコツをご紹介します。
[キュウリ 北海道の育て方]
■北海道の気候とキュウリ
北海道は寒冷地になので、暖地に比べると夏は涼しく、冬は寒いです。
春になっても気温が上がってくるのも遅いため、
キュウリ栽培には向いていないような気がします。
ところが、キュウリは35度以上の気温が続くような気候より、
25度~30度くらいの気温の方がよく育ちます。
35度以上の日が続くと、生長が止まることもありますし、
容器栽培では土が高温になって根が傷み、枯れることもあります。
その点で、夏でも30度以上になることが少ない、
北海道は、キュウリ栽培が可能といえます。
ところが、キュウリは寒さに弱いため、
気温が十分上がってからでないと、露地栽培ができません。
北海道は夏の涼しさはキュウリ栽培に適しますが、
春の寒さはキュウリには辛い環境です。
気温が上がるまで、いかに寒さを防ぐかが、
北海道でのキュウリ栽培のポイントになります。
■北海道でキュウリを育てるコツ
・植え付けの適期
関東や近畿など、中間地といわれる地域では、
だいたい4月下旬~5月中旬頃までが苗の植え付け適期とされます。
実際、ゴールデンウィークの時期になると、遅霜の心配もほぼなくなり、
よく晴れた日には汗をかくこともあります。
北海道でも時々暑い日がありますが、それが続くことはほとんどありません。
そのため、植え付けの適期もずれてきます。
北海道でのキュウリの植え付け適期は、5月下旬~6月とされています。
この時期には気温も上がってきて、キュウリが育ちやすい気温になってきます。
これよりも前に植え付けたいということであれば、
ビニールハウスなどを設置して、防寒だけでなく加温が必要になる場合があります。
苗を植えた後に防寒対策をしないまま放っておくと、
突然の寒さで苗が枯れてしまうことが増えるので注意が必要です。
霜に注意して栽培します
・収穫できる期間
植え付けの時期が遅くなると、収穫できる期間が短くなってしまいそうです。
ところが、北海道の夏は中間地に比べると涼しいため、秋口まで収穫できます。
中間地の場合、8月中旬頃には、キュウリは夏バテをして枯れてしまいます。
北海道など涼しい場所では、中間地に比べて気温が低いため、
8月に入っても生育が衰えることはありません。
だいたい9月頃まで収穫ができますが、寒さに強い品種を育てれば、
もう少し長く収穫できる可能性もあります。
ただ、夏が過ぎた後、気温が下がるのが早いため、
想像以上に早く寒波がやってくることがあります。
キュウリは霜に当たると枯れてしまいます。
2015年の初霜の観測は10月6日だったそうです。
例年よりも数日早かったようですが、
10月に入ったらすぐにでも枯れる可能性があるということです。
露地で大きく育ってしまったキュウリを防寒するのは難しいので、
霜が降りるようになったら諦めるほかありません。
中間地では5月に植え付けをして、6月~8月まで収穫できます。
北海道では6月に植え付けをして、7月~9月まで収穫できます。
つまり、北海道以外と北海道とでは、
栽培期間も収穫可能期間もあまり差がないということになります。
基本的な育て方は全国共通ですが、北海道では植え付け時期に気をつけ、
防寒対策をしっかりと行うようにすれば、キュウリ栽培を楽しむことができます。
キュウリ よしなり
よしなりは、家庭菜園でも人気が高く、
園芸初心者の方に選ばれることも多い品種です。
よしなりも基本的な育て方は、一般的なキュウリの育て方と同じです。
けれど、よしなりにはその特徴があるので、
気を付けておくと良いポイントがいくつかあります。
[キュウリ よしなり 育て方]
■よしなりの特徴
キュウリは夏野菜の代表ともいえる野菜のため、
暑さに強いと思われがちですが、実はそれほどではありません。
キュウリを一度育ててみるとよく分かりますが、
真夏までにぐんぐんとツルを伸ばして実をつけ、
真夏の暑い盛りに元気がなくなることが多いのです。
つまり、キュウリは実は暑さにはそれほど強くないということです。
かといって、寒さに強いわけでもありません。
苗が小さい生育初期は、寒さで生長点が傷むことも多く、防寒が必要です。
ところが、このよしなりは暑さと寒さに比較的強い特徴があります。
暑さによる草勢の衰えが少ないので、上手に管理して環境が合えば、
秋まで長く収穫できる可能性が高くなります。
また、キュウリは病気に合いやすいですが、よしなりは耐病性を持っています。
べと病、褐斑病、うどんこ病など、キュウリがかかりやすい病気に耐性があります。
これらの病気に悩まされ、いつもキュウリを思うように収穫できない方には、
栽培してみる価値があります。
生育期間全体を通して、草勢や実の収穫量に波が少なく、
安定しているので、初心者の方にもお勧めです。
■よしなりを育てるコツ
よしなりは、耐病性があり草勢が安定するなど、長所がたくさんあります。
その長所を最大限発揮させるために、よしなりに合わせた栽培が望まれます。
・寒さ
よしなりは暑さと寒さに強い品種ですが、寒い場所に特に強くはありません。
どちらかというと、他の品種と同じように防寒をした時に、
低温に対する耐性があるため、生育しやすくなると考えた方が良いでしょう。
寒さに強いからといって、防寒が必要ないわけではありません。
苗を植え付けた後、根がしっかりと張るまでは寒さに当たらないようにします。
ホットキャップやワラをかぶせるなど、簡単でも防寒対策をしておくことで、
栽培の初期の根張りが期待できます。
・ツルの管理
よしなりは草勢が衰えにくい特徴がありますが、
あまりわき芽を摘みすぎると草勢が弱ります。
株元から5節~6節くらいまでのわき芽を摘むのは、基本の育て方と同じです。
そこから上4節~5節のわき芽は、葉を1枚残して摘み取ります。
さらにそこから上のわき芽は、葉を2枚~3枚残して先端を摘み取ります。
登頂付近の2節~3節のわき芽は、また葉を1枚残して摘芯します。
親づるを摘芯した後は、わき芽を摘みすぎると草勢が弱る場合があるので、
できるだけ生育のよさそうなわき芽を2芽~3芽残すと安定します。
冷やしすぎずに食べると、その味わいに驚きます!
・収穫
収穫量が安定している反面、とり残しがあると後の生育と収穫に響きます。
よしなりの実は、だいたい21cmくらいが基準の長さになりますが、
それよりも小さいうちに収穫しても問題はありません。
大きくなるまで放っておくと、株には大きな負担になります。
若い実は若い実で、また違った食感で楽しめるので、味わいましょう。
・害虫
キュウリがつきやすい害虫の中でも、アブラムシは病気を媒介するので、
できるだけ防除するようにします。
アブラムシがついてから駆除しても良いのですが、
できるだけ最初からつかないようにするため、
キュウリの株元などに光るものを置くようにしましょう。
アブラムシはキラキラと光ものが苦手なので、
銀色のマルチを使ったり、アルミ箔を株元に置くのがお勧めです。
それでもアブラムシがつくことがあるので、
もしついているのを見つけたら、すぐに捕殺するようにしましょう。
四葉キュウリ
キュウリ、現在では約2300種もあり、
種や苗で様々な品種のキュウリが売られています。
品種それぞれに特性がありますが、
中でも四葉(すうよう)系のキュウリは、昔ながらのイボイボが多く、
シャッキリとした食感が魅力の品種です。
基本的な育て方や性質としては、他の一般的なキュウリと同じです。
水やりのタイミングや追肥の頻度なども変わりません。
生育温度も一般のキュウリと同じで、気温が上がったら苗を植え付けるようにします。
では、四葉キュウリをうまく育てるコツをご紹介します!
[四葉キュウリの育て方]
■四葉系キュウリの特徴
四葉とは、本葉4枚くらいの頃から花芽をつけることで名づけられたといわれています。
早生品種なので生育も早いのが魅力です。
四葉系のキュウリは、他品種より暑さに強く、生育スピードが早いのが特徴です。
実の食感はシャッキリ感が強く、水分がやや少なく感じられる硬めの食感です。
生でスライスしてサラダにするのはもちろん、漬物にするのにも最適です。
水分が少ない特徴を生かし、中華風の炒め物にしてもおいしくいただけます。
真夏にバテるキュウリが多い中、暑さに強いのは嬉しい特徴です。
実のつき方が節成りではないので、
わき芽から子づるや孫づるを発生させて収穫量を上げる必要があります。
親づるだけで育てると、とびとびにしか実がつかないため、
極端に収穫できる数が減ることがあります。
四葉系のキュウリは、生育が旺盛で暑さにも強く、比較的育てやすい系統です。
実のつき方が節成りではないため、仕立てを間違えると収穫量が減ります。
四葉系のキュウリの中でも、豊産性のある品種を選ぶのがお勧めです。
「F1多福四葉」「パリQ」「シャキット」など、生育も旺盛で実付きの良い品種を選ぶと、
少々仕立てに失敗しても、親づるからでもある程度収穫することができます。
■四葉系キュウリの仕立て方
四葉系のキュウリの特徴として、親づるよりも子づるや孫づるによく花がつきます。
そのため、節成りキュウリでは親づるの生育を主とするところを、
わき芽を発生させて子づると孫づるの生育を主とした仕立てを行います。
1. まずは親づるを育て、株元から5節~6節くらいまでにつく花芽とわき芽は摘みます。
2. 親づるが170cmくらいの高さまで育ったら、先端を摘んで摘芯します。
3. 株元から5節~6節より上から発生したわき芽は育てて子づるとします。
4. 子づるは葉を2枚~3枚残して摘芯します。
5. 子づるから発生したわき芽は、孫づるとしてそだて、葉を2枚~3枚残して摘芯します。
6. 親づるや子づる、孫づるに花がついて着果したら、最適サイズまで育てて収穫します。
四葉系のキュウリは親づるだけでなく、
子づると孫づるにも実をつけさせ、収穫量を増やすようにします。
品種によっては孫づるは放任していても良いと書かれていますが、
基本的には摘芯した方がツルの管理がしやすくなります。
おてがる四葉キュウリも人気
■四葉系キュウリの収穫
花が咲いて実がついたら、いよいよ次は収穫です。
四葉系のキュウリは、一般的な品種に比べて実が少し長めです。
だいたい28cm~30cmくらいになったら収穫します。
四葉系は暑さに強いため、栽培期間が長くなりやすい品種です。
そのため、あまり長く実をつけていると、株が疲れやすくなります。
基準のサイズに到達していなくても、
翌日には大きく育っていることもあるため、小さくても収穫してしまいましょう。
■葉の処理
四葉系のキュウリは、親づると子づると孫づるの3種類のつるを発生させます。
節成りタイプのように親づるのみを育てる、
あるいは親づると子づるのみを育てるのとは違い、ツルの数が多くなります。
ツルの数が多くなれば、それだけ葉の数も増えます。
四葉系のキュウリは、葉が立派なサイズになるものも多く、
ツルとツルの間隔が狭いと、葉と葉が干渉してしまうことがあります。
キュウリの葉には短い毛がびっしりとはえているため、
互いの葉にこすれて葉が傷むことがあります。
さらに風通しが悪くなり、病害虫の原因になることもあります。
葉が茂る部分に実がつくと、発見が遅れて巨大キュウリができてしまいます。
役目を終えて黄変してきた葉はこまめに摘んでおきましょう。
また、葉と葉が重なっている部分は、一方の葉を摘んで風通しを確保しておきます。
ただし、一度にたくさんの葉を摘むと、株に大きなストレスがかかります。
一度に摘む葉の量は数枚程度にとどめておきましょう。
■ネット栽培
キュウリを育てる時、地這い栽培をするのでなければ、
支柱やネットの設置が必要となります。
節成りタイプのキュウリであれば、支柱1本でも育てることができますが、
四葉系の場合は親づるの他に、子づると孫づるも発生するため、
複数の支柱を立てるか、ネットの設置が必要になります。
持っている支柱の本数が限られている場合は、ネットを張って栽培するのがお勧めです。
ただし、キュウリはネットが揺れてツルが傷むのを嫌います。
ネットを設置する時は、ピンと張った状態にするようにしましょう。
2016年のキュウリは夏すずみにしました
キュウリは、初心者の方でも育てやすいので、
家庭菜園では、お勧めの野菜です。
ベランダでも育てるのが比較的簡単なので、
夏は新鮮な自家製キュウリを収穫し楽しむこともできます。
ベランダでは鉢やプランターでの栽培となります。
ベランダでのキュウリ栽培のコツをご紹介しましょう。
[キュウリ ベランダの育て方]
■品種を選ぶ
キュウリの標準的なサイズの品種も、鉢やプランターで育てられ、
ベランダでもじゅうぶんに育てることができます。
また、ミニキュウリと呼ばれる品種が、ベランダ菜園には向いています。
実が一般的なキュウリの半分くらいの大きさなので、
実がなっている姿もかわいらしいです。
ミニキュウリは、一般的なキュウリに比べると、節と節の間が狭いため、
同じ長さの支柱で育てたとしても、たくさん収穫することができます。
節と節の間が狭いことを利用して、コンパクトに育てることも可能なため、
生育スペースに限りがあるベランダではお勧めです。
菜園用深型容器に2苗、植え付けています
■育てる容器
キュウリはつるがよく伸びる分、根もよく伸びます。
容器栽培をすると、どうしても根が育つ範囲が制限されてしまいます。
根が育つ範囲が狭いと、根詰まりを起こして生育不良になるため、
できるだけ大きい容器を使って栽培するようにします。
鉢植えであれば10号(直径30㎝)サイズに1株、
プランターなら60~70cmの長さの30~50リットルの容器に2株を植え付けるのが目安です。
どちらの容器も浅型ではなく、深型のものを選びましょう。
キュウリは実がつくと、とても多くの水分を欲しがるようになります。
鉢やプランターのサイズが大きければ、それだけ土を入れる量も増えます。
土の量が増えれば、根が生育するスペースが増えるだけでなく、
保ってる水分の量も増えるので、水切れしにくくなります。
10号鉢相当であれば、袋栽培もできます
■水切れに注意
キュウリは水切れを起こすと、つるの伸びが悪くなったり、
葉が枯れて落ちてしまったり、実が大きく育たなくなります。
ベランダ栽培の場合、屋根がついている環境が多いかと思います。
屋根があると、降雨時も、雨が当たらないことの方が多いはずです。
つい忘れてしまい、土が乾いて水切れを起こすことがあります。
生育スピードが速くなってくると、土の乾き具合がも速くなるため、
水切れを起こさないように注意します。
さらに、栽培初期や梅雨時期など、地植えでは、水分をあまり欲しがらない時期や、
雨が降り続く時期に気を抜いてしまい、水切れを起こすこともあります。
水を与えすぎて過湿にすると、病気の原因となるので避けますが、
表土が乾いていたら、容器の底から水が出てくるまで、
たっぷりと水を与えるようにしましょう。
つるを上手に誘引してあげます
■つるの扱いと摘芯・整枝
ベランダで育てると、生育スペースがある程度決まってしまいますね。
一般的なマンションであれば、隣家との兼ね合いもあるため、
あまり好き勝手にすることはできません。
キュウリはつる植物のため、生育するペースが速くなってくると、
日ごとにつるが伸びるようになってきます。
数日放っておくだけで、親づるから出た子づるまで伸びてしまい、
つる同士が絡んでしまうこともあるほどです。
つるが伸び放題だと、敷地外に出たり株のエネルギーが無駄に消費されます。
キュウリ栽培をする時は、支柱やネットに必ず誘引しましょう。
苗や鉢、土を準備する時に、つるを誘引する支柱2mくらいやネットも用意します。
また、キュウリのつるは、支柱などのてっぺんと同じ高さまでつるが伸びたら、
摘芯をします。
摘芯をすることで、親づるがそれ以上伸びなくなります。
主に親づるに実をつけさせる節成りのキュウリなどは、
親づるを伸ばせば、収穫が増えると思えますが、そうではありません。
高い位置まで伸ばしても、根から水分や養分を思うように運ぶことができず、
花付き実付きが悪くなります。
また、高い場所は収穫などの手入れも難しくなり、危険です。
つるを伸ばせば伸ばすほど収穫できると欲張らず、
支柱の高さで摘芯して、適切な手入れをした方が、
安定して収穫することができます。
*プランターの育て方の中段をご覧ください。
■暑さ対策をする
キュウリは日当たりの良い場所を好みます。
ベランダで育てる場合も、日当たりの良い場所を選んで育てるようにします。
キュウリは夏野菜で暑さに強いと思われがちですが、意外とそうでもありません。
気温が高い日が続くと、株が疲れやすく、夏バテを起こして枯れてしまいます。
特にベランダは、床がタタキなどになっているため、照り返しが起きやすい環境です。
照り返しなどで容器が熱くなると、中の土の温度も上がり、根が傷みます。
鉢やプランターなど、キュウリを育てている容器と床との間に、
何かワンクッションおくことで、熱の伝わりを和らげることができます。
木やゴムの板、レンガなどが手に入れやすく、
容器を置いても斜めにならないものが適しています。
中でもすのこ、空気と水の通り道ができるためお勧めです。