ネットの上までつるが伸びたら摘心します
キュウリを育てる時に、必ず必要にな作業、それが摘心です。
ただ生長点を切るだけの作業、と思われる方がいるかもしれませんが、
摘心は、キュウリの品種により変わってきます。
キュウリ栽培では意外と重要な作業である摘心には、
どのようなポイントや注意点があるのかをご紹介します。
[キュウリの摘心]
■キュウリの性質
キュウリはどれも同じように見えますが、実のつき方には、違いがあります。
品種によって性質が異なるので、まずは3種類の性質を知っておきましょう。
*図を見ながら以下の説明をご覧ください。
・節成り型
節成り型は、親づるの各節に雌花がつき、それが実になります。
つまり、各節に実がつくという性質の品種です。
・飛び節成り型
飛び節成り型は、節成り型と違って親づるに花芽がつきにくい性質があります。
そのため、親づるを早めに摘心して子づるを発生させ、
そこに実をつけさせるのが一般的です。
古くからあるタイプの性質です。
・中間型
名前の通り、節成り型と飛び節成り型の中間タイプです。
親づると子づるの両方に雌花がつくため、どちらにも実をつけることができます。
ただし、節成り型のように各節に花が咲くわけではなく、
飛び節成り型のようにとびとびに花がつきます。
親づるにも子づるにも実がつくので、どちらのつるも大切にしたいです。
節成り型と飛び節成り型の両方の性質を持ったタイプが、
中間型ということになります。
*より詳しくは下記をご覧ください。
■性質ごとの摘心法
キュウリが持っている3種類の性質によって、摘心のタイミングが異なります。
摘心を適切に行えば、それだけ実をつける予定のつるが伸び、収量も期待できます。
反対に摘心を怠れば、つるの生長が緩慢になり、
花付きや実付きも悪くなる可能性が出てきます。
・節成り型、中間型
節成り型と中間型は、親づるに雌花がついて実がつくので、
親づるを短く摘心すると、収量が落ちます。
特に節成り型は、親づるメインで実がつくので、
親づるを短くしてしまうと、その後の生育に大きく影響します。
摘心する位置の目安は、だいたい支柱の高さです。
この高さであれば、作業にも支障が出ず、
かつ子づるを発生させて育てる中間型であっても、
子づるの発生を遅らせることなく育てることができます。
・飛び節成り型
飛び節成り型は、親づるに雌花がつきにくく、おもに子づるにつきます。
そのため、親づるはあまり長く伸ばさず、
子づるの発生を生育に体力を使わせるようにします。
親づるの摘心のタイミングは、7節~8節くらいです。
■作型ごとの摘心法
キュウリ栽培での摘心は、親づるだけではありません。
飛び節成り型や中間型は、子づるにも実がつくので、
子づるや孫づるの管理も必要となります。
子づる以降のつるを全て放任すると、あっという間につるが絡んでしまうので、
整枝をかねて摘心をするようにします。
作型によって、子づる以降の摘心のタイミングが少しずつ違ってくるので、
ぜひ参考にしてください。
・露地栽培
家庭菜園などでも使われる、もっとも基本的な作型です。
子づる:下節位は1節で摘心、中節位は2節で摘心、上節位は1節で摘心
孫づる:下節位は1節~2節で摘心し収穫後につるを取り除く、
中節位と上節位は2節で摘心
ひ孫づる以降:低節位は取り除いているので摘心不要、
中節位と高節位は基本放任だが混んでいる部分は摘み取る
・ハウス抑制栽培
まだ暑さの残るうちから定植し、寒くなっても収獲を続ける作型です。
子づる:下節位は1節で摘心、中節位は2節で摘心、上節位は1節で摘心
孫づる:下節位は1節で摘心して収穫後につるを取り除く、中節位は2節で摘心、
上節位は2節で摘心
ひ孫づる以降:低節位は取り除いているので摘心は不要、
中節位と上節位は2本~3本を放任して他は1節~2節で摘心し、
混みあっている部分は取り除く
・促成栽培
抑制栽培とは反対に、寒い時期から栽培を始め、早くから収獲をする作型です。
子づる:下節位は1節で摘心、中節位は2節で摘心、上節位は1節で摘心
孫づる:1節で摘心して収穫後につるを取り除く、中節位は3節~5節で摘心、
上節位は3節~5節で摘心
ひ孫づる以降:下節位は取り除いているので摘心不要、
中節位と上節位は基本放任で混んでいる場所は取り除く
・半促成栽培
促成栽培よりも遅めに栽培を開始しますが、
露地栽培よりも早めに収獲を開始する作型です。
子づる:下節位は1節で摘心、中節位は2節で摘心、上節位は1節で摘心
孫づる:下節位と中節位は1節~2節で摘心して収穫後につるを取り除く、
上節位は2節で摘心
ひ孫づる以降:帰追はつるを取り除いているので摘心不要、
中節位と上節位は放任して混んでいる部分は取り除く
摘心すると収量が高くなりますので覚えておきたいです
■摘心作業のコツ
摘心作業をする時には、いくつかのコツがあります。
栽培方針によっては、やらなくても構いません。
しておいた方が、栽培がうまくいく可能性が高くなります。
・ハサミを使わない
摘心作業をする時は、ハサミを使わずに手で生長点をポキンと折るようにします。
適切な時期に摘心を行えば、摘心する部分が硬すぎて手で折れないということは、
ありませんし、簡単に作業が行えます。
また、他の植物に使ったハサミは、病気の原因となる菌が付着している可能性があります。
そのハサミをそのまま使うと、そのキュウリも病気にかかることがあります。
片手で摘心作業をすれば、取り除く方にだけ手を添えるため、
万が一発病株に触れた手であっても、感染の可能性は低くなります。
・適期を狙って作業する
キュウリ栽培での摘心は、実をつけさせるつるを育てるために行います。
親づるを摘心することで、発生した子づるは勢いを増します。
子づるの摘心をすれば孫づるが発生して、勢い良く伸びます。
つるを伸ばす力をうまく抜くために、放任するつるをいくらか作り、
勢いのあるままに実をつけるつるを育てることで、良い花が咲いて実がつきます。
草勢を弱めるために摘心しすぎると、
株全体の勢いが弱まる原因になるので、注意します。
・中節位中心に育てる
家庭菜園など、少ない株数を栽培する場合、どの位置でも作業に問題はありません。
けれど、多くの株数を育てる農家では、作業しやすい位置としにくい位置が出てきます。
下方と上方は手が届きにくく、作業が難しくなります。
できるだけ中節位を中心に仕立てると、作業がしやすくなるのでお勧めです。