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キュウリは、スーパーなどであれば、年中お店に並んでいる野菜です。
けれど、本来の旬は夏なので、夏野菜として家庭菜園であれば、
夏野菜として栽培されることが多いです。
そんなキュウリですが、良い状態に育てるためには、
肥料や土に含まれる養分に不足がないように管理する必要があります。
けれど、不足を心配するあまり、あまりにも多くの養分を与えていると、
今度は過剰の症状が出始めます。
キュウリが必要とする成分の中に、ニッケルがあります。
ニッケルが多すぎる状態をニッケル過剰と呼びますが、
キュウリがニッケル過剰になると、どのような症状が出るのでしょうか。
[キュウリ ニッケル過剰]
■主な症状
・葉の白斑
ニッケル過剰になった時、目に見えて分かりやすい症状は、葉に出ます。
中位から上位にかけての葉に細かな白斑が発生します。
この白斑は、葉裏から見た時にも確認でき、葉全体にあらわれるのが特徴です。
また、新葉は葉の縁が枯死したり、葉脈間の黄化、
葉の巻きあがりなどの症状が出ることもあります。
・根の生育不良
土栽培では、地下の根の状態は見えません。
けれど、ニッケル過剰になっていると、地下の根にも影響が出ます。
水耕栽培などであれば、容器の中をのぞけば、根の状態がチェックできます。
ニッケル過剰となったキュウリの根は、茶色く変色し、
根の生育が極端に悪くなります。
本来であれば、太めの主根がいくつも伸び、
そこから細かな側根が発生しているのですが、
ニッケル過剰となっているキュウリの根は、側根がほとんどありません。
正常なキュウリの根と比べれば、色の差や生育の差がよく分かります。
■主な原因
・蛇紋岩土壌
植物の生育に、ニッケルが必要と判明したのは、21世紀に入ってからです。
ニッケルが必要といっても、必要とされる量自体はとても少なく、
土のニッケル含有量が高ければ、容易にニッケル過剰となります。
日本では、地域によって蛇紋岩と呼ばれる、
ニッケルを多く含む石が多量に混ざった土壌があります。
そういった地域では、蛇紋岩からニッケルが溶け出し、ニッケル過剰となります。
北海道の一部の地域で、蛇紋岩を母体とする土壌で栽培した野菜に、
ニッケル過剰の症状が出たという報告もあります。
潜在的にニッケルを多く含む土壌が酸性になると、
さらにニッケル過剰を助長します。
土が酸性になると、ニッケルを溶け出しやすくするため、吸収量が増えます。
すると、ニッケル過剰となって症状が出始めるのです。
■対策
・土をアルカリに調整
土が酸性になっていると、土中のニッケルが溶け出し、
吸収しやすい状態となります。
これを軽減するには、土をアルカリに調整する必要があります。
酸性に大きく傾いている場合は、弱酸性~中性くらいに調整するだけでも、
溶け出す量が減って、ニッケル過剰の症状も軽くなります。
■判断基準
土が酸性であるかどうかは、市販の器具を使うことによって、
家庭でも調べることができます。
ただ、ニッケルがどれくらい土に含まれているかは、見た目では分かりません。
気になる場合は、土壌診断を行うのがお勧めです。
■参考
・キュウリ 種からの育て方
・キュウリ苗 枯れる
・キュウリ 地植えの育て方
・キュウリ プランターの育て方