キュウリといえば、世界一栄養のない野菜といわれながらも、
豊富に含んだ水分によって、夏の乾きを潤してくれる存在です
日本でも古くから親しまれている野菜のため、よく食べるという方も多いでしょう。
夏の家庭菜園でもとても人気があり、
毎年欠かさず栽培しているという方もいるほどです。
そんなキュウリですが、ずらしまきという育て方があります。
このキュウリのずらしまきとは、どのようなものなのでしょうか。
[キュウリ ずらしまき]
■キュウリ ずらしまきとは?
キュウリのずらしまきとは、
簡単にいうと種まきの時期をずらして育てる方法のことです。
通常、キュウリは3月頃に種まきを行います。
キュウリは種まきから定植できるくらいの苗に育てるまで、
だいたい2ヶ月ほどかかります。
キュウリの苗を植え付ける適期は、5月上旬頃となるため、
それに間に合わせるためには、3月の種まきが必要となるのです。
通常であれば、3月に種まきして育てたキュウリは、
6月頃から収穫が始まります。
キュウリは夏野菜の中でも生長が早く、収穫を開始するタイミングも早い野菜です。
ところが、収穫を始めるのが早い分、栽培が早くに終わることも多いです。
トマトやナスなど、他の夏野菜がまだまだ育っている中、
キュウリだけは早々に栽培が終了し、とても寂しい気持ちになります。
できればもっと長くキュウリ栽培を楽しみたいという方にお勧めなのが、
ずらしまきです。
ずらしまきは、3月に種を播くのではなく、時期をずらして5月~7月頃に種を播く栽培法です。
種まきの時期をずらす分、収穫開始の時期も遅くなります。
もちろん、ずらして播いた分だけを育てれば、時期がずれるだけで、
実際の栽培期間を延長することはできません。
けれど、通常の3月播きと合わせて5月~7月撒きを栽培すれば、
長い間キュウリを栽培し、収穫を楽しむことができます。
これが、キュウリのずらしまきです。
種まきの時期をずらすと、長期間キュウリが収穫できます
■キュウリ ずらしまきのメリット
キュウリのずらしまきは、一見すると面倒なように見えますが、
実はとても大きなメリットがあります。
それが、タイムロスが少ないことと、おいしい実を続けて収穫できることです。
・タイムロスが少ない
3月播きだけで育てると、最初はとても順調なように見えていても、
次々と実をつけるということは、キュウリの体力をどんどん削っていくことになります。
いくら水やりや追肥、その他の管理に注意をはらっていても、
調子を崩すことが多いです。
調子が悪くなってくると、草勢が落ちた株を再び元気な状態に戻そうと、
試行錯誤します。
けれど、一度落ちてしまった草勢を戻すのは、プロの農家であっても難しいものです。
そこで、3月播き分の株は早々に諦め、
ずらしまきしておいた株を生長させて収穫することで、
余計な苦労やタイムロスがなく、また勢いのある良い株を育てることができます。
もちろん、ずらしまきをした分の育苗などにかかる手間はあります。
けれどその分、できるかどうか分からない苗の回復に、
時間と手間をかけずに済みます。
キュウリ株を継続して栽培すれば、いつも美味しいキュウリが味わえます
・おいしい実を続けて収穫
キュウリは調子が崩れ始めると、実の状態も悪くなります。
それまではピチピチのおいしい実が収穫できていたのに、株自体の調子が悪くなると、
実も曲がった変形果が多くなり、食味も悪くなります。
変形果が増えてきた時、ずらしまきをして育てていた株があれば、
そちらにもまた実をつけさせることができます。
勢いのある株とない株とでは、収穫した実の食味に大きな差が出ます。
ずらしまきをすることで、3月播き分の株が衰えたとしても、次に育てた株から、
おいしい実を続けて収穫することができるのです。
■キュウリ ずらしまきに向く品種
キュウリはどの品種でもずらしまきが可能ですが、その中でも特にお勧めなのが、
節成り性を持っている品種です。
節成り性のあるキュウリ品種は、その名の通り、節ごとに雌花をつけます。
そのため、コンスタントに収穫ができます。
また、子づるや孫づるを伸ばして育てるということがなく、仕立て方も簡単なので、
初心者の方にも向いています。
飛び節成り性などの品種でももちろん構いませんが、節成り性品種の方が、
摘心したところまでの収穫を終えれば、スパッと栽培をやめて次に移ることができるので、
栽培のやめ時も分かりやすいです。
■参考
・キュウリ 種からの育て方
・キュウリ苗 枯れる
・キュウリ 地植えの育て方
・キュウリ プランターの育て方