キュウリにとっては、肥料は適正かやや少ないくらいが良いようです
[キュウリ 肥料過多]
キュウリが肥料過多になるとどうなるのでしょうか。
また肥料過多になったらどのように対処すれば良いのでしょうか?
分かりやすくご説明していきます。
■肥料過多の症状
肥料過多と一口に言っても、症状は様々です。
肥料の中には、おもに窒素・リン酸・カリという成分が含まれています。
この他にも、鉄やカルシウム、マンガンなどの微量成分を含むものもあります。
どの成分が多いのかによって、症状が違う場合もあるので見極めが大切です。
・葉が大きい、葉の縁が波打っている
キュウリの品種によって葉の大きさは多少違いますが、
あまりに葉が大きくなっている場合は、窒素が多いことが多いです。
窒素は葉を育てるための肥料なので、多過ぎると葉に異常が出るようになります。
葉が大きくなる他に、葉の縁が波打ったようになるのも、窒素過多の症状の1つです。
窒素が多いために葉を大きくしようとした結果、縁だけが伸びて大きくなったものの、
葉の中央の生長が追い付かず、縁の部分が余ってしまい、波打ちます。
・葉の色が濃い、薄い
葉の色が濃過ぎる場合も、窒素が多い場合がほとんどです。
同じように窒素が多い場合に、葉の表面に黄色い斑点が多数できることがあります。
この場合、株元に近い下の方の葉から症状が出ます。
他にも、葉脈の部分だけが緑色に残り、
他部分の色が抜けてしまうような症状が出ることがあります。
これは亜硝酸やマンガンが多い時に出る症状です。
マンガンが多い時は、さらに葉脈の部分が濃くなり、紫色っぽくなります。
また、葉全体の色が抜けたように黄色っぽく変色するのは、銅が多い時に出る症状です。
銅が多い場合は、新芽に近い上の方の葉に症状が出やすくなります。
・ツルが太い
ツルが以上に太く、生長が早すぎるのは、窒素が多いためです。
窒素は葉を育てる肥料ですが、同時にツルや枝などを育てる肥料でもあります。
葉がやたら大きく、ツルが太すぎる株は、窒素過多と見て間違いないでしょう。
・雌花がつかない
低温の場合も、雌花がつきにくい症状が出ることがありますが、
肥料が多い場合も同じような症状が出ます。
これは窒素が多い時によく出る症状です。
葉とツルばかりが茂り、雌花がつかない時は、窒素過多が一番疑わしいです。
これはツルぼけと呼ばれる状態で、
このままでは実をつけることができないので厄介です。
・奇形果や流れ果が出る
実のヘタに近い肩の部分が凹んでいたり、
実のところどころにくびれのようなものができたり、
雌花が咲いても実が大きくならない場合は、肥料過多の症状です。
一見、肥料不足かと思えるような症状も、肥料過多が原因の場合があるので、
早合点して追肥しないように注意します。
・生育が悪い
なんとなく全体的な生育が悪い、
最初は良かったが徐々に元気がなくなった場合は、肥料過多が原因かもしれません。
土の中の肥料濃度が高かったり、キュウリの根が直接肥料に触れていると、
根が傷んでうまく育つことができなくなります。
根を傷めれば、その後の生育に大きく影響が出るので、注意が必要です。
元肥は、適正な量か、以前に作物を作っていたら少な目にします
■肥料過多の対処法
肥料過多の症状の多くは、窒素過多によるものです。
微量成分が多い場合も症状は出ますが、起きるのは稀と考えて良いでしょう。
窒素が多い場合の対処法としては、いくつかあります。
・水を控える
窒素は水に溶けやすい性質があるため、
水やりをするとそれだけ水分に溶け、水分と一緒に吸い上げられます。
そのため、窒素が多い時には水を控えるのが常套手段なのですが、
キュウリの場合は注意が必要です。
トマトのような、乾燥気味に育てても問題ない植物なら良いのですが、
キュウリはどちらかというと乾燥に弱い植物です。
特に最盛期になると、朝に水を与えても夕方には乾いていることもあるほどです。
なので、少し控える程度にして、あまり水が切れないようにする必要があります。
ただし、鉢やプランターで育てている場合は、
水を大量に与えることで肥料濃度を下げることができます。
容器栽培の場合、水を与えると容器の底から余分な水が出てきます。
この余分な水の中には、溶け出た肥料成分も含まれているので、
大量に水を与えることで、肥料成分を流すことができるのです。
・草勢をコントロールする。
キュウリが生長する時、葉やツルを大きくして株を育てるか、
花や実をつけて大きく育てるか、この2つのバランスによって、
実付きが良かったり悪かったりします。
葉やツルを大きくしようとしている時は、花や実をつける力が弱くなり、
花や実をつける力が強くなると、葉やツルが育つ力が弱くなります。
窒素過多の状態になり、葉やツルがやたらと育ってしまっている状態は、
株を大きくする力の方に傾いている状態です。
この力を弱めることで、花付きや実付きを回復させる方法です。
理屈は少し難しいですが、作業としては簡単です。
まず、十分な高さまでツルが生長しているのに、摘芯がまだの場合は摘芯をします。
摘芯することで親づるの生長が止められるため、ツルの生長がいったん落ち着きます。
与える肥料の質も、チェックしてみてください
■肥料過多の原因
では、どうして肥料過多の状態になっているのでしょうか。
原因が分かれば、対策もおのずと分かりますし、次の栽培にも役立ちます。
・与える量が多い
肥料を与える時、大きく育ってほしい気持ちから、
規定よりも多く与えている場合があります。
肥料はどちらかというと、過多になると対処が難しいですが、
不足になった場合は追肥するだけなので対処が楽です。
適量が分からない場合は、少なめに与えるのが過多にさせないポイントです。
化成肥料だけでなく、液体肥料でも同じことです。
規定通りの希釈率で作るか、
少し薄めに作ったものを与えると、肥料焼けの心配も減ります。
・与える回数が多い
肥料の量や濃度が問題なくても、回数が多いと良くありません。
化成肥料は2週間~3週間に1回が目安です。
液体肥料の場合は1週間に1回です。
もし肥料不足のサインが出たら、即効性のある液体肥料を与えて様子を見ます。
・肥料のバランスが悪い
肥料には、窒素・リン酸・カリが含まれています。
この中で、窒素が多い肥料を与えていると、窒素過多になりやすくなります。
3つの成分が同等のものか、窒素が少なめのものがお勧めです。
・以前の肥料成分が残っている
長く家庭菜園を続けていたりすると、
土の中の肥料バランスが悪くなっている場合があります。
窒素が多く残っていたりするので、何度育てても、
肥料を変えてみても、頻度や量を下げてみても、
どうしても肥料過多の症状が出る場合は、
一度土の中の栄養バランスを「土壌 ph 測定器」でチェックしてみるのがお勧めです。
■参考
・キュウリ 種からの育て方
・キュウリ苗 枯れる
・キュウリ 地植えの育て方
・キュウリ プランターの育て方