美味しいキュウリは、良い苗が作ります
キュウリ苗を植え付けようとポットから抜いてみると、
根がぐるぐるに巻いていて、根鉢がカチカチになっていることがあります。
根鉢が崩れる気配もないくらい、根がいっぱいに詰まっている状態は、
とても元気な状態のように見えます。
けれど、キュウリ栽培では苗の根鉢が硬いと、いろいろな問題が出てきます。
キュウリ栽培では、根鉢が硬い苗はどうしてダメなのでしょうか。
また、根鉢が硬い苗を植える時のコツも、あわせてご紹介します。
[根鉢が硬い苗は?]
■根鉢が硬い苗が良くない理由
キュウリの苗を植える時、根鉢を崩さないようにします。
根鉢が硬い苗なら、崩れる心配はありませんが、
それ以上に良くないことがたくさんあります。
キュウリ苗の根鉢が硬いと、いったい何がダメなのでしょうか。
・根が老化している
根鉢が硬い状態ということは、根がかなり回っている状態ということです。
キュウリ苗の植え付け適期は、根鉢に根が回り切らないうちです。
完全に根が回っているということは、根詰まりと同じ状態です。
根詰まり状態の根鉢は、キュウリの根にとって悪い環境です。
通気性も通水性も悪く、根が生長するスペースも少ないため、勢いが弱まります。
植え付け適期を過ぎた苗を「老化苗」と呼ぶことがありますが、
根鉢が硬い苗は、完全に老化苗になっています。
・根が伸びにくい
根鉢が硬いということは、根がぎゅうぎゅうに詰まっていて、
それ以上生長することが難しいです。
つまり、それまで元気に勢い良く伸びていた根の生長が弱まります。
根を広げることができる広い場所に植え付けたとしても、
勢いの弱まった根は、なかなか回復しません。
根の生育スピードが弱まったままでは、地上部の生育も悪くなり、
結果として全体的に生育不良に陥ることが多いです。
・中心が乾燥しやすい
根鉢が硬く、根が詰まっていると、通水性が悪くなります。
根鉢の硬い苗は、ポットの中で水の通り道ができている場合も多く、
水を与えても通り道を抜けて出てしまいます。
そのため、通り道付近の土しか湿ることができず、
それ以外の土は乾燥したまま、ということがよくあります。
同じポットの中の土に、乾湿の差があると、根の生育状態にずれが出てくるため、
地上部の生長にも影響が出やすくなります。
また、ポットという小さな容器の中は、ただでさえ乾燥しやすい環境です。
その上、水の通り道ができてしまうと、乾燥が進んで水切れを起こしやすくなります。
良苗の底部分
良苗を横から
■根鉢を硬くしないために
植え付け後の生育を悪くしないためには、根鉢を硬くしないことが一番です。
キュウリ苗の根鉢を硬くしないポイントをまとめたので、ぜひ参考にしてください。
・植え付け適期を守る
根鉢を硬くしないためには、根を張らせすぎないことです。
根が回って根詰まり状態になると、根鉢が硬くなります。
根詰まりさせないためには、適期を守って植え付けます。
キュウリの育苗期間は、播種からだいたい30日~35日が目安となります。
これに合わせて、根の状態を見ながら定植時期を見極めましょう。
市販の苗を購入する場合は、ポットの底から根が完全に出ている苗は避けましょう。
・ポット上げ、鉢上げをする
植え付け適期の苗を購入しても、すぐに植え付けなければ意味がありません。
もし、どうしても適期のうちに植え付けができないというのであれば、
ポット上げや鉢上げをして、根の生育スペースを広げてあげましょう。
ホームセンターなどではあまり並びませんが、キュウリ苗にもセルタイプがあります。
セルはポットよりもスペースが少ないので、適期の期間はとても短いです。
すぐに植え付けができないのであれば、セルからポットへ移植します。
ポット上げをした後も、気を抜くと根鉢が詰まってくるので、
適期を見逃さないようにしましょう。
・苗床の土を見直す
育苗の時に使われている土の質によって、根鉢が固まりやすくなることがあります。
有機質に富んだふかふかの土であれば、
育苗期間を終えても、柔らかく良い状態を保てます。
ふかふかの土は、水分や空気を含みやすく、
根が健やかに育ちやすいので、育苗にはぴったりです。
ポットの底から根が出ているのはNG、根が黄ばんでいたら絶対NG
根鉢がぎゅうぎゅうだと、生育不良になりやすいです
■根鉢が硬い時は?
植え付け適期を過ぎてしまい、苗の根鉢が硬くなっていたら、
そのまま植えてはいけません。
キュウリ苗の植え付け法の基本としては、根鉢を崩しません。
けれど、根鉢が硬くなったものをそのまま植え付けると、
根が外に向かって伸びていかず、生育が悪くなります。
また、中心で固まった土に水分が入らず、
乾燥が進んで根が傷んだり、水切れを起こしやすくなります。
そんな時は、思い切って根鉢を崩し、根を広げて植え付けます。
根鉢を崩す時は、力任せにせず、丁寧に作業します。
根をできるだけ切らないように注意しながら、
ぐるぐるに巻かれた根をほどきましょう。
固まった根をほぐせたら、今度は植え付けです。
狭い植え穴に根を押し込めると、根が広がることができません。
植え穴は通常よりも横に広くあけ、根を広げて植え穴に置きます。
根と根の隙間を埋めるように土をかぶせ、水を与えて土と根を密着させます。
この方法は、あくまでも根鉢が硬くなった時の応急処置だと思ってください。
根鉢が硬くなっても大丈夫なわけではないので、
できるだけ適期を逃さないようにしましょう。
■参考
・キュウリ 種からの育て方
・キュウリ苗 枯れる
・キュウリ 地植えの育て方
・キュウリ プランターの育て方